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海外旅行会社「株式会社いい旅」が始めたスリランカカレーのキッチンカー出店までのお手伝いをした経緯を、以前紹介しました。いざ色々始めてみて、途中からマーケティングをしっかりやる必要性を感じるようになりました。まあ、マーケティングというと、それだけで何やら大層なもののように感じますが、実は決まったフォーマットに当て込むだけで物事が格段に見えたり分かったりするので、小さい商売ほどその成果を分かりやすく実感できると思っています。
今回はそのいい旅キッチン出店のマーケティング調査でやった「3C分析」について説明します。

「3C分析」で存在意義が確認できる

自分たちのまわりの環境、市場を把握するための手段が「3C分析」です。市場や顧客(Customer)、自社(Company)、競合(Competetor)と3つに分け、その関係性をどう捉えていくかという考え方です。これを行うことで、自分たちの存在意義や、全体を俯瞰してみた時のバランスが把握できるようになります。あくまで観測と方向性を見るもので、近江商人の「三方良し」のように自己チェックのような意味もあります。(三方良しは売り手・買い手・世間なので現在で言うCSR経営であり、3Cと観測点は違いますが、ツールとしての機能性は似ていると思います)
以下に詳しく説明しますが、企業というより小さな商売をしている人の視点でまとめてみました。

自社

まず、主体になる自社です。自社(自分)の特徴や手掛けようとしていることをまず洗い出して、他の2つの「C」と照らし合わせますが、図のようにそれぞれの間をどう捉えていくかがいわゆる「戦略」のスタート位置になります。
商品やサービス、販売や営業の戦略は何となくすでにあるはずですが、ここでしっかりと強みと弱みを把握するために「SWOT分析」をすることをおすすめします。強み・弱みを認識するのって気が向かないものですが、私達もお店に行く時はそこを無意識に判断しています(ここは安いけど品揃えが、、など)。あくまで客観的にとりあえずやっちゃうのがコツです。前回の記事でも、いい旅キッチンの強みと弱みについてまとめていますが、実際に強みが拡大した時の「機会」、弱みが拡大した時の「脅威」の4つの視点で考えます。ちなみにSWOT分析のやり方は多くの事例が検索で見つけられるのでここでは割愛します。

市場・顧客

市場と顧客を捉えるのにはコツがあります。例えばお店の場合は、市場を「社会」、顧客は「商圏内」として2つの視点で考えます。人は自分たちの生活圏の中で、社会の情勢を反映して生活しています。スマホを見ていたらカレーを食べたくなり、近場のカレー店を探すなんてことが一般的ですよね。これがBtoBなら業界と顧客、EC販売やその場所でしか体験できないサービスなら、顧客にあたる商圏は地理の制約を超えた領域になります。
「自社」と「市場・顧客」の間を繋げるのはニーズです。さらに最近ではウォンツという考え方もあります。ニーズははっきりしている需要(これがほしい)、ウォンツは顕在化してない需要です。「既読」表示が震災の安否確認に活用されLINEが広まったというのはよく聞きますが、まさにこれはウォンツを捉えた事例ですね。
ここで大事なのは自社と市場・顧客の間にある需要をどう捉えるかということを考えることです。

競合

競合というと「ライバル」、つまり勝敗相手のように考えがちですがこれでは狭い考え方になります。おすすめは「市場・顧客から見た選択肢」として捉えることです。選択肢と考えることで、自然と自社の差別化へと目が向くようになります。そうでないと価格競争など、単純な勝敗レースに自ら乗ってしまうことになります。
また、「競合」が「市場・顧客」への需要をどうやって満たしているか、これらを調査、研究する必要があります。この作業も面倒くさくてやらなかったりするのですが、「自社の劣っている面を見たくない」心理があると思います。ここで前出したSWOT分析をやっていれば予め自社の弱みを分かっているので、しっかりとヒントを見つけることができます。

3C分析で大切なこと

3Cに限らずこのようなマーケティング分析で大事なのは、ちょこちょこ足したり引いたり、変えていくことです。分析はあくまで現時点での仮説であり、始めてみて見えてくることや、分かることがほとんどです。最初に立てた仮説が大間違いでも修正できればいいのです。むしろ修正できずに盲信的に進むことの方が悲劇なわけです。合っていれば伸ばす、間違っていれば方向転換する、そのためにも一回やっておしまいではなく変え続けて、かつ誰でも現時点の状況を共有できることこそがマーケティング分析の本来の役割だと考えます。

いい旅キッチンの3C分析の事例

以上が、マーケティング分析の最初の方にやるべき3CとSWOT分析の説明でした。これをスリランカカレーのいい旅キッチンがどのように進めたかを例に取ると、以下のようになりました。

自社×市場 ・顧客→ 「ニーズ・ウォンツ」
・カレーはみんな大好き
・一次商圏は出店場所(固定)の前を通る人
・商圏の住民特性(世田谷・住宅地)から、味やメニューの特異性、健康に気を使うお客さんが多いはず

自社×競合 → 「差別化」
・現地調査により、カレー専門にランチを提供している店は少ない
・商圏範囲内に、大手の混雑する人気スーパーが2店。
・スーパーの安くてボリュームがあるお弁当と差別化を計る。

競合×市場→「観察・研究」
・周りにはチェーン店は少なく、おしゃれな店で1000円程度の高価格帯なランチやテイクアウト店が多い。
・出店場所は人気スーパーへの通り道で、昼前後は人通りが多い。
・また出店場所の通りにはコインパーキングがあり、車で買い物やランチに寄る人も多い。


というように、調査の結果や気付きなどを上げていき、矛盾はないか、バランスは取れているかなどを最初は見ていきます。
また先に述べたようにこの分析は、一回でやったものではなく、出店前、出店直後、その後など長期的に3Cを確認したものです。前出したように一回でここまで把握できませんし、もちろん方向修正したものもあります。いずれにしても「方向性が会っているか」早く実感できるようになることが大事だと考えます。
また、3C分析は方向性を定めたり確認するツールなので、具体的な戦略や成果でまとめなくてもいいと思います。具体的にするにはまた別の分析方法がありますので、次ではその具体的にするための「4P分析」を事例に合わせて紹介します。

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