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新型コロナウィルスの影響が長期に渡り、主軸事業から、新たな領域にチャレンジする人たちが注目されています。その形態の一つが「移動販売」。
ただじっとしていても何も変わらない。様々業種が外に出て状況を変えて行こうとしています。
今回は、ある旅行会社が、キッチンカーでスリランカカレーを販売し始めた経緯と、その結果を紹介します。

スリランカツアーで人気の旅行会社

海外旅行ツアーを催行する株式会社いい旅はインド、スリランカに強みを持っています。スリランカは2009年の内戦終結により観光地化が進み、旅行ガイドブックのロンリープラネットでも「行くべき国2019年」でNo.1を獲得しています。早くからスリランカツアーを開拓していたいい旅スリランカは日本の旅行メディアからも注目されていました。


 ちなみに、いい旅の経営者の黒崎康弘氏は筆者・川口の高校時代の同級生で、いつかツアーに参加したいと考えていたところでした。
ところが、2020年初頭から新型ウィルスが一気に世界中に広がり、海外への旅行はおろか渡航そのものが困難になってしまいます。このため旅行・観光業界ではこの局面に立ち向かう戦略が必要になります。最近では「イモトのWiFi」のエクスコムグローバルの新事業が話題になりました。


 

逆境からのチャレンジ

当然海外旅行会社である「いい旅」も、かなりタフな状況に追い込まれます。(他人事のように書いていますが、当社パングラムも販促というプロモーション事業を営むため、状況は同様です)

しかし過酷な状況が続くあいだも、経営者の黒崎氏は「旅行の素晴らしさや海外との架け橋になるような行動を続けていくことが自社の使命」と、思いを巡らせ続けていました。
社員と出演するYouTube投稿、国内でのツアー先開拓など、様々な試みにトライする黒崎氏。日々試行錯誤するなかで、「スリランカ×かつては料理人だったため調理師免許を持っている」という自分の強みを活かしたアイデアを検討し始めます。

それはスリランカ料理のテイクアウトキッチンカーを始めること。

しかし本人は料理人の経験があるとはいえ、会社で新規に飲食事業に挑戦するのはするのは経営者として勇気のいる決断です。ですが黒崎氏はキッチンカー調達の調査やテイクアウトカレーの研鑽など、一つまた一つとタスクを積み重ねて、挑戦を確かな感触へと変えていきます。そして様々な人の手を借りながら、2021年4月に世田谷の三宿にキッチンカーを出店するところまでこぎつけるのです。

(↑スパイスを効かせた野菜がたっぷり。トッピングに日本オリジナルのカレーつくねも用意)

 

 

成功は戦略にかかっている

出店の決定後から、黒崎氏と私はキッチンカー出店についてリスクを分析しました。


強み
・カレーという人気食の提供。
・スリランカカレーは野菜やスパイスで健康志向。
・出店地が世田谷の三宿。おしゃれで美味しい店が多いエリア。
・旅行会社がキッチンカーを始めるというストーリー。

弱み
・ビジネスパーソンは少ない。主要顧客は住民。
・隣のOKストアは人気店。お弁当が安くて美味しい。
・出店場所は道路沿いだが、目立ちにくい。


さらにその分析から、以下の戦略を意識します。

戦略
・世田谷区三宿で認められる品質。
・スーパーと比較してもお求めやすい価格。
・近隣住民に受け入れられるコミュニケーション。

戦略は立てることはできても、落とし込んで実行するのは簡単ではありません。価格や供給数量などの定量的な判断、接客やプロモーションなど定性的な判断を同時に行いながら、結果を待たず軌道修正もしていく必要があります。経営者同士で様々なプランを練り上げました。


さて、ここからの経過は少し飛ばして、2ヶ月後の現在の話になります。
毎週一回水曜日昼の出店ながらも、オープンからほぼ毎回完売を達成する、なかなかの人気店になっています。リピートで訪れていただけるお客様も多く、三宿で認知もされてきているという感触があります。

以降では、そのスリランカカレーの「いい旅キッチン」がどのように戦略を立てて実行していったのかをお話させていただきます。→ 小さな商売ほどマーケティングを

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