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地熱発電事業の開発をサポートするサービス説明の動画を制作させていただきました。
アニメーションや図解を中心に、分かりやすく伝わるように工夫しならが仕上げたつもりです。

この仕事に取り組んでみて、環境問題において大事だとは分かっていても、よく分かっていなかったことが数多くあると気付かされました。
日頃ニュースで報じられていることは、私達が身近な問題として感じにくいのも事実です。この気づきを、小学校高学年以上が見ても分かるように伝えてみたいと思い、この記事をまとめてみました。
誰もがなんとなく感じているであろう疑問を3つ挙げ、それらを解説する記事になっています。

▼3つの疑問
[1]、脱炭素社会とよく言われるけど、日本はそこまでこだわる必要あるの?
[2]、再生可能エネルギーで何とかなるんでしょ?
[3]、なぜ地熱発電?他の方法でいいんじゃない?

脱炭素社会、日本はそこまでこだわる必要ある?

地球温暖化の大きな原因とも言われる温室効果ガス。二酸化炭素がもっとも大きな割合を占めており、他にもメタン、フロンなどがあります。またそれらは人々の生活活動から生み出されるものがほとんどです。
まずは世界の国ごとの二酸化炭素総排出量を見てみましょう。

2018年の総排出量の比較だと、中国とアメリカが圧倒的に多く、日本は全体の3%ほどです。一見すると全体から見れば多くはないじゃん?という割合です。
しかしこれは国の広さや人口は抜きにした数字です。次のグラフで見るとどうでしょう。

国民の一人あたりがどのくらいの二酸化炭素を出しているかを世界で比較すると、日本は4位です。また一つ前の円グラフでさほど多くないように見えた韓国やドイツも一人あたりで見ると上位になります。
世界には200近い国がある中で、日本は一人あたりの二酸化炭素の排出量が4位。この現状は一般市民には関係ない、とスルーはできないですよね…。

再生可能エネルギー利用で何とかなるんでしょ?

そう、結論から言えば、再生可能エネルギー(以下再エネ)が100%普及すれば、二酸化炭素排出量はぐーーっと減ります。再エネは太陽光・風力・地熱・水力・バイオマス発電が代表的な存在ですが、これらはどれも発電時に温室効果ガスを排出しません。
では、日本の再エネ発電力の割合はどうなっているのでしょうか?
2019年の電力内訳を見ると、二酸化炭素を排出してしまう火力発電が75%、再エネ発電が18.5%、原子力が6.5%。
東日本大震災以降は日本は火力発電力の割合が増加して、実は2014年には過去最大の二酸化炭素を排出してしまっています。再エネ発電の普及とともに減少傾向にありますが、現状としてはまだまだ火力発電頼みなのです。

世界の再エネはどんな状況?

下の図は国内の発電力における、再エネ発電の割合を示したグラフです。ヨーロッパでは発電エネルギーの半分以上の割合を再エネから生み出している国もあります。1位のデンマークは2030年までに再エネ発電100%を宣言しています。欧州は日本とは社会や生活が違う、と言っても国土面積や自然環境から見れば、日本ももっと再エネ比率を伸ばすことはできるはずなのです。

なぜ地熱発電?他があるのでは?

再生エネルギー資源の点からみると、日本は、アメリカ、インドネシアに次ぐ世界3位の地熱資源量保有国で、いわゆる地熱大国です。
国内の地熱発電所では東北と九州に集中しており、21ヶ所あります。しかし国別の地熱発電所数では日本は世界で10位。そして、国内再エネ内での地熱発電の比率はたったの0.2%。地熱大国であるはずの日本が、なぜこのような状況なのでしょうか?

地熱発電が広がりにくい理由

国内で地熱資源があると判明している場所は、ほとんどが国立公園内にあります。景観や自然への影響はもちろん、必然的に温泉観光地も近く、水質への影響なども心配になってきます。また地熱発電所は検討調査段階で必ず地面を掘る必要があります。温泉大国でもある日本では、住民や関係者との調整において、他の再生可能エネルギーよりも地熱発電所建設はハードルが高くなってしまっている、こんな事情があるのです。
まあ、日本人ならなんとなく分かります。しかし今の日本ではこれだけ風土が豊かなのに、なぜすぐれた点を活用しようとしないの?ということがたくさんある気がします。

そんな地熱発電で注目のニュースが

そんな、もったない状況の地熱活用ですが、最近注目すべきニュースがありました。全国展開する「業務スーパー」の創業者が事業として地熱発電の建設を熊本で進めているのです。

業務スーパーは筆者もヘビーユーザー。オリジナル商品も充実していますが、ホームページがユニークでついつい見てしまいます。(水ようかんカー最高!)
そんな勢いのある会社の創業者が、事業を二代目に譲って新たにチャレンジしているのが地熱発電所の建設。ウクライナ情勢から、輸入エネルギー代替が課題となっている今だからこそ、注目を浴びたニュースとも言えます。
日本は資源がない、と投げやりに言われがちですが、創業者の沼田氏は町おこしから日本の未来まで、大きな持続可能性を掲げてこの事業に取り組んでいます。
このような時代だからかこそ、再生エネルギーとしての地熱発電と日本の自給率の向上をしっかりと認識させてくれるこの取組み。「一般市民には関係ない。今さえ良ければ、後はいい」という大人にならないためにも、この先の社会のためにも、今後も地熱発電の可能性に注目していきたいと思っています。

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